離婚時の厚生年金の分割制度とは?

散歩する老夫婦.jpg 離婚時の年金格差を減らすために、厚生年金の加入期間が長く年金額の多い配偶者から年金額の少ない配偶者に、婚姻期間に応じて年金を分ける制度のことです。

 

 このような制度を設けられた背景に

@ 熟年離婚の増加

A 男女間の給与の格差

B 男女間の雇用機会の格差

があげられると思います。

 

 年金分割の制度とは、簡単に言うと婚姻期間中であった厚生年金の被保険者(例:会社勤めの夫)の厚生年金保険料を夫婦間で分け合う制度です。

 これによって、厚生年金保険料の少ない専業主婦の方が、夫の受け取るはずの厚生年金の一部を分けてもらえ、離婚後の将来老後の生活不安を軽減することができます。

 

年金分割の例(按分する割合を50%とした場合)

分割前

夫の厚生年金額 180万円
妻の厚生年金額 40万円

 

分割後

夫の厚生年金額 110万円
妻の厚生年金額 110万円

年金の仕組み

 それでは、分割制度の具体的な説明に入る前に、年金制度について大まかに見ておきましょう。

 

 現在の年金制度では、全国民が共通の基礎年金(国民年金)、サラリーマンなどが加入する厚生年金保険、公務員や私立学校の教職員さんが加入する共済年金、そしてさらに上乗のせ部分の年金を支給する企業年金や、国民年金基金、厚生年金基金があります。これらは同時に受給でき、ビルの階数にたとえて、3階建てなどと言ったりします。

3階部分 企業年金等 サラリーマン等 厚生年金基金や職域加算
2階部分 厚生年金保険 サラリーマン 報酬比例
共済年金 公務員など 報酬比例
1階部分 基礎年金 全国民共通 国民年金

 

 国民年金法により20歳から60歳(第2号被保険者の場合は65歳まで)の日本在住者は、国籍は問わず第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者に分けられています。

第1号被保険者 おもに自営業や会社の代表
第2号被保険者 サラリーマンなど厚生年金保険の被保険者
第3号被保険者 第2号被保険者に扶養されている配偶者(専業主婦など)

 

 第3号被保険者は自分で保険料を払わなくても基礎年金は受け取れますが、厚生年金の報酬比例分を受け取ることができないため、将来低額な年金しか受けることができず、生活に不安があります。

 このため、第2号被保険者である配偶者の年金(正確に言えば年金記録)を離婚時に分けてあげようという趣旨で、厚生年金保険法に年金の分割制度が設けられています。

年金分割するメリットとは?

 年金の分割制度を利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか?

 

次のご夫婦のケースで考えてみましょう。

  厚生年金 基礎年金 合計の年金額
180万円 70万円 250万円
0円 40万円 40万円

 

 

50%で分割後

  厚生年金 基礎年金 合計の年金額
90万円 70万円 160万円
90万円 40万円 130万円

 

 第3号被保険者は、かって国民年金が任意加入となっていた時期があり、一般的に基礎年金(国民年金)も低額な例が多いうえに、厚生年金も支給されませんが、第2号被保険者(この場合夫)の年金を分割してもらうことにより、老後により多くの年金を受け取ることができるようになります。

 

 メリットの多いケースとしては

@ 婚姻期間(第3号被保険者であった期間)が長い

A 厚生年金保険の加入期間(第2号被保険者であった期間)が長い

 

上のようなケースでは、厚生年金保険の年金分割制度を利用するメリットが大きいといえるでしょう。

 

 年金分割した場合の影響をまとめると、一般的に

分割をした人(上の例では夫) 自身の、厚生年金保険の保険料納付記録から、相手方に分割した記録を差し引いた記録に基づいて年金額が支給されるため、本来もらえるはずの年金額が減る。

分割を受けた人

(上の例では妻)

・分割を受けたfだけ、自身の年金額は増える。

・年金が受け取れるのは、自身が年金を受給できる年齢に達してからになる

・分割した人が亡くなっても、いったん分割された年金額が減ることはない。

(死亡によって分割の効果がなくなるわけではない)

 

 ただし、保険料を支払った期間が25年以上ないと、年金自体を受給する権利がないので、分割され増額された年金を受けることができません。したがって、離婚後分割した後も25年の基準を満たすまで、自身で保険料を納付していく必要があるので注意が必要です。

年金の分割制度の仕組みには2つある(合意分割と3号分割)

 実は、厚生年金保険法に定められている年金の分割制度には合意分割制度と3号分割制度の2つあります。

 

それぞれの特徴を表にまとめてみました。

  分割の方法 分割できる期間
合意分割   分割する割合(按分率)を夫婦間で話し合い、合意した按分率で分割する。合意できないときは、家庭裁判所に申し立てる。 平成19年4月1日以後に離婚等をし、分割できる期間の制限はなし
3号分割 第3号被保険者が請求することにより自動的に2分の1に分割される。 平成20年4月以降の第3号被保険者であった期間に限定

 

どちらも離婚後2年以内に請求する必要があります。

年金分割の注意点

 年金分割をするうえで注意したい点を挙げてみました。

@ 厚生年金の報酬比例部分(給料に比例して年金額が決まる部分)の保険料を支払ったという記録自体を分割する。将来受給できる年齢になったらその記録をもとに、年金額が決定され支払われることになる。

A 分割された期間は、年金を受け取る要件となる期間には加えられないので、自身で要件(保険料を支払ったとみなされる期間が25年以上)を満たすまで、国民年金の保険料を納付する必要がある。

B 離婚(事実状の離婚状態も含む)してから2年以内に請求する必要がある。

C 65歳前に年金分割をすると、65歳になってから妻の老齢年金に加算される振替加算が受けれなくなる

D 夫が子供を引き取った場合、子供が受けられる遺族厚生年金の額が少なくなる。

 

それぞれメリット、デメリットをよく検討して、年金を分割するか、又は分割するならどれくらいの按分割合にするか考える必要があります。

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